答えが既に示されている質問に間違った答えを口にするなど馬鹿な人間のすることだ
例えその答えにたどり着くまでにどんな工程があろうと、正解が変わることは決して無い
大きな影が彼の上を通り過ぎる。影の正体を見てやろうとそちらに目を向ければ緑色の草原には相応しくない銀色の突起にじゃらじゃらと鎖が巻きつけられ、本体がゆっくりと大地に降り立つと、その反動で起こった強い風に巻き上げられた土が彼の元へ届く。それに彼は目を少しだけ細めたが、それでも薄い砂埃の向こうの影を見つめていた。
その飛空挺は彼が見たこともなかった形や色をしていたが、将軍から伝えられていた通りのものだった。
土が混じった唾を吐き出し注意深く飛空挺を見つめていると、ハッチが開き中から小さな影が外へと現れた。
大きな体からいくつもの小さな影が産み落とされていくその様を見て、彼は出産の様だと思う。
小さくそれでもはっきりと生み出されていくものたちは精一杯に生を生きようとするものでもあり、これから敵にその身を晒さなければいけない命だ。
弱いものは命を奪われ、強いものは大きくなる。そして―――強大な何かにとっての敵となるのだ。
(だから。
まだ、小さいうちに。
ペダンの裏切り者という敵のうちに。
いつか何かにとっての強大な敵となるまえに…)
「殺さなければならない」
彼は小さくそう言うと強く剣の柄を握り締め、小さな影を見つめた。
小さな影達は光の元へ進み、形を、色を、はっきりと現していく。
そして影達の先頭に立っていたものが鮮明に彼の目に映しだされた瞬間彼は更に剣の柄へと力を込めた。
彼の目に映し出された影は―――あんなにも信じていた青年の姿をしていた。
解を求められた質問に答え、そして、その答えに責任を持つことは当然のことだ
そして間違って出された解に答えが出されれば、答えを正さなければいけない
そして自分の答えと正された答えの解が結ばれてしまえば、今更後には引けない
ぼくはあの時の自分自身の答えを、そして祖国を裏切ってはいけない
―――アイツのように